Finder
2012,しずくの窓
これらがお店に並んでいる商品だとしたら、小さくて何だか面倒くさそうで、必要ないし、興味が無ければ素通りしてしまう単なる工芸作品なのかもしれない。
そんなちっぽけな物でも魅せ方を変えれば一歩立ち止まって、ちょっと覗いて見てもらえるような、工芸の作品に新たな価値観を持ってもらえるような作品が出来るのではと考え制作している。
金属のみ、または金属とガラスというミニマルな素材で制作しているが色があり、有機的な形状を持つ私の立体物を平面作品にしたのは、東京都現代美術館”ブルームバーグプロジェクト”でのハイプレインの組み合わせでできた真っ白なパビリオンの内部で展示することを前提としたからである。展示空間と作品の相互が上手く融合し合い、且つ、お互いの視覚的な作用を触発しあう存在の一つの作品になるのではと考えた。
私は常に”工芸に立体的な形は必要なのであろうか?”という疑問を持っている。
勿論、工芸の作品はPC上では絶対に作ることは出来ないし工芸品のコレクターはそのモノ自体を欲する。
しかし、工芸作品の魅力を知らない人々になんとか興味を持ってもらうには、場所を取り何かと面倒な『リアル』な物体であるよりも、現代の人間が精通している平面である必要があるのではと考た。
とは言っても作り手である私にとって最終的な目論見は、『リアル』の立体物(立体作品そのモノ)に目を向けてもらうためなのだが…
小さな金属の作品を撮影し拡大することによって見えた新しい世界を発見した時に、その発見者となった自分=『Finder』と、カメラの『Finder』を通して見た立体物をテーマにして作品にしたことからこのタイトルを付けることにした。
同じ一つの作品でも平面的な表現でこそ見えてくる、どこか新しく何か不思議な世界の発見者に一気に誰もがなれるような作品にすることがこの作品の狙いだ。
2012,Heart
2012,Stars
2012,Flower
2012,Flowers